佐川さんに続き

近所の全く懐かない猫をしゃがんで呼び寄せている女性が居たので「こんばんは。猫、来ますか?」と尋ねてみたが、既に全く懐かない猫はこちらに向かって歩いて来ていた。
私とは一定の距離を保つ全く懐かない猫が、ニャーニャー喋りながらずりずり女性に近付いて来る。
女性は「この子とても臆病なので」と言いながらもどこか誇らしげ。
全く懐かない猫は、ニャーニャーと言うか、ジャージャーとギャーギャーの間のビャービャーといった感じのだみ声を上げ続けている。
そんなにもこの女性が好きなのか?
しかし、私は見た。
彼女の左手には食べかけの菓子パンがあることを。
そして、それをそっと私から見えないように隠したことも。
だみ声の「ビャービャー」が「菓子パンよこせ、よこしやがれ菓子パンを」に聞こえた。

写真は近所の猫ではなく、駅の地下に入る階段脇でのガラス越しの猫。
頭の向きがおかしい、死んじゃっているのかと思ったら、大きなあくびをした。